紅白幕以外の幕を知ろう

登場シーンの多い「紅白幕」以外にも、色を組み合わせた「幕」には種類があるんです。代表的なものをいくつかご紹介させていただきますね。もちろんこれらは「田中美染株式会社」でも制作できますので、興味をお持ちの方は弊社までお問合せください。

さて、まずはじめは「浅黄幕」から。別名を「青白幕」ともいい、濃い青色と白、2色の縦じまカラーをしています。「紅白幕」や、あとで紹介する「鯨幕」より歴史的に伝統が長いとされ、地鎮祭や上棟式といった神事で使用されることが多いようです。これは「浅黄幕」が神様が来る場所、神聖なエリアを示す幕だからなのだとか。勝手に立ち入る事ができないようにする目的で掲げ、一般的にはお祝いが「紅白幕」、忌事などの神事には「浅黄幕」と使い分けられています。

次に先ほどもちらりとお話した「鯨幕」。別名は「蘇幕」で、お通夜やお葬式で式場の中や建物の周辺に張られる白黒の布を指します。古来からクジラが日本人にとって身近な存在であったため、黒白=クジラが連想されたようです。その歴史は江戸時代から明治くらいにまでさかのぼり、西洋文化の影響を受けて弔事の黒が「死」や「葬儀」を意味するようになりました。私たちが目にするのが葬儀の場面が多いためか、悪いときに使われると思われがち。ですが、実は冠婚行事にも使っていいんですよ。実際、皇室での納采の儀や結婚式では鯨幕を使っているのです。

最後に紹介するのは「定式幕」。名前だけ聞くとなんだかわからないかもしれませんが、見れば「あぁ、あれか!」とピンとくる人も多いはず。「いつも使われている幕」を意味し、3色のストライプに染めた幕のこと。歌舞伎や落語界などの幕開きや終幕に用いられ、国立劇場の黒・萌葱色(濃い緑)・柿色が有名ですね。由来は江戸時代に「江戸三座」といわれる中村屋・市村座・森田座の芝居小屋だけに許されていた名誉ある引幕からきています。伝統ある舞台効果に重要なものとされる大切な幕なんですって。

紅白幕以外でも用途別に多彩な幕があり、その場面の雰囲気を盛り立てる役目をする「幕」。これからの時代にも受け継いでほしいステキな文化です。もし町中で目にする機会があったら、「これはどの幕かな」って考えてみるのも楽しいかもしれませんね。

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